新しいiPhoneを手に入れた時、古い端末からのデータ移行に不安を感じる方は多いのではないでしょうか。iOS 12以降に搭載されている「クイックスタート」機能を使えば、面倒なデータ移行作業を大幅に簡素化できます。
本記事では、iPhoneクイックスタートの基本的な使い方から、失敗した時の対処法まで、最新の情報をもとに詳しく解説します。機種変更を控えている方や、データ移行で困っている方はぜひ参考にしてください。
iPhoneクイックスタートとは?基本的な仕組みと概要
iPhoneクイックスタートは、古いiPhoneから新しいiPhoneへデータや設定を簡単に移行できるApple純正の機能です。iOS 12以降のデバイスで利用でき、従来のiTunesバックアップやiCloudを使った復元よりも直感的で簡単な操作でデータ移行が可能です。
この機能の最大の特徴は、新旧両方のiPhoneを近づけるだけで、自動的に移行プロセスが開始される点です。複雑な設定や専門知識は必要なく、画面の指示に従って進めるだけでデータ移行が完了します。
クイックスタートで移行できるデータの種類
クイックスタートでは、以下のデータや設定を移行できます:
- Apple IDとiCloudの設定情報
- Wi-Fiネットワークのパスワード
- アプリの配置とフォルダ構成
- 一部のアプリデータ(アプリ側が対応している場合)
- Face IDやTouch IDの設定
- Apple PayやSiriの設定
- システム設定(画面の明るさ、文字サイズなど)
ただし、写真や音楽、動画などの大容量ファイルは、別途iCloudやiTunesでのバックアップ復元が推奨されます。アプリ内の詳細なデータについても、アプリ開発者の対応状況により移行できない場合があります。
移行にかかる時間の目安
クイックスタートの所要時間は、移行するデータ量とネットワーク環境により大きく異なります:
- 基本設定のみ:5〜10分程度
- アプリ含む標準的な移行:30分〜1時間程度
- 大容量データ含む完全移行:2〜4時間程度
移行中は両方のデバイスを近づけた状態で保持する必要があるため、時間に余裕がある時に実行することをお勧めします。
クイックスタート対応機種一覧|iOS要件と互換性
クイックスタート機能を利用するには、移行元・移行先の両方がiOS 12以降を搭載している必要があります。対応機種は以下の通りです:
iPhone対応機種
- iPhone 6s以降のすべてのモデル
- iPhone SE(第1世代・第2世代・第3世代)
iPad対応機種
- iPad(第6世代以降)
- iPad Air(第2世代以降)
- iPad Pro(すべてのモデル)
- iPad mini(第4世代以降)
iPhone 6以前の古い機種では、iOS 12にアップデートできないため、クイックスタートは利用できません。この場合は、iCloudバックアップやiTunesを使った従来の方法でデータ移行を行う必要があります。
また、移行先の新しいiPhoneが最新のiOSバージョンを搭載している場合、移行元のiPhoneも同じバージョンまでアップデートしておくことで、より多くの設定が移行できます。
【事前準備】クイックスタートに必要な設定と環境
クイックスタートを成功させるために、以下の準備を事前に行いましょう:
Wi-FiとBluetoothの事前確認方法
両方のiPhoneで、以下の設定を確認・有効化してください:
Wi-Fi設定の確認
- 「設定」→「Wi-Fi」を開く
- Wi-Fiがオンになっていることを確認
- 安定したネットワークに接続されていることを確認
- 可能であれば5GHz帯域の高速Wi-Fiを使用
Bluetooth設定の確認
- 「設定」→「Bluetooth」を開く
- Bluetoothがオンになっていることを確認
- 不要なBluetooth機器は一時的に切断しておく
移行中は大量のデータ通信が発生するため、Wi-Fi環境は必須です。モバイルデータ通信のみでは、データ使用量が膨大になる可能性があります。
Apple IDログインのタイミングと重要性
移行元のiPhoneでは、事前にApple IDにログインし、「iPhoneを探す」機能をオフにしておく必要があります。これにより、アクティベーションロック(=盗難防止機能)の問題を回避できます。
Apple IDの確認手順
- 「設定」の最上部にある名前をタップ
- Apple IDにサインインしていることを確認
- 「探す」→「iPhoneを探す」をオフにする(移行後に再度オンにします)
Apple IDのパスワードを忘れてしまった場合は、事前にリセットしておくことが重要です。移行作業中にパスワードの再設定を行うと、手続きが複雑になります。
iPhoneクイックスタートの手順|画面付きで詳しく解説
実際のクイックスタート手順を、ステップバイステップで解説します:
直接移行とiCloudを使った移行の違い
クイックスタート実行時には、2つの移行方法から選択できます:
直接移行(デバイス間転送)
- 古いiPhoneから新しいiPhoneに直接データを転送
- Wi-Fi経由で高速転送が可能
- iCloudの容量制限に関係なく利用可能
- 転送中は両方のデバイスを近づけておく必要あり
iCloudからの復元
- 事前に作成したiCloudバックアップから復元
- 転送中に古いiPhoneを使用可能
- iCloudの空き容量が必要
- ネットワーク速度により時間が長くなる場合あり
データ量が多い場合やiCloudの容量が不足している場合は、直接移行がおすすめです。一方、移行中も古いiPhoneを使い続けたい場合は、iCloudからの復元が適しています。
実際の移行手順
- 新しいiPhoneの電源を入れる
- 初期設定画面で「クイックスタート」オプションを選択
- 古いiPhoneに通知が表示される
- 「新しいiPhoneを設定」の通知をタップ
- 「続ける」を選択
- カメラでスキャン
- 古いiPhoneのカメラで新しいiPhoneの画面に表示されるアニメーションを読み取り
- 正常に読み取れると「新しいiPhoneでの設定を完了」と表示
- パスコード入力
- 新しいiPhoneに古いiPhoneのパスコードを入力
- Face ID/Touch IDの設定
- 生体認証の設定を行う(後でも設定可能)
- データ転送方式の選択
- 「iPhoneから転送」または「iCloudからダウンロード」を選択
- 転送完了まで待機
- 転送中は両方のデバイスを近づけた状態で保持
- 進行状況は画面で確認可能
クイックスタート失敗時の対処法とトラブルシューティング
クイックスタートがうまくいかない場合の対処法をご紹介します:
よくあるエラーメッセージと解決法
「デバイスが見つかりません」エラー
- 両方のデバイスでWi-FiとBluetoothがオンになっているか確認
- デバイス同士を30cm以内に近づける
- 他のBluetooth機器から離れた場所で実行する
「転送を完了できませんでした」エラー
- Wi-Fiネットワークの安定性を確認
- 古いiPhoneの容量不足を解消(不要なアプリや写真を削除)
- iOS版数を最新にアップデート
「Apple IDの確認に失敗しました」エラー
- Apple IDのパスワードを再確認
- 2ファクタ認証の設定を確認
- Appleのサーバー状況を確認(Appleシステム状況ページ)
移行が中断された場合は、新しいiPhoneを初期化して最初からやり直すことが最も確実な解決方法です。
Appleサポートへの効果的な問い合わせ方法
技術的な問題が解決しない場合は、以下の情報を準備してAppleサポートに連絡しましょう:
準備しておく情報
- 両方のiPhoneの機種名とiOSバージョン
- エラーメッセージの正確な文言
- 実行した手順の詳細
- ネットワーク環境(Wi-Fiの種類、速度など)
Appleサポートには、電話サポート(0120-993-993)、オンラインチャット、Genius Barでの対面サポートなどの選択肢があります。急ぎの場合は電話サポートが最も迅速です。
データ移行の代替手段|iCloudとiTunesバックアップ活用法
クイックスタートが利用できない場合や、より確実なバックアップを作成したい場合は、従来の方法も活用できます:
iCloudバックアップの作成・復元手順
- 古いiPhoneで「設定」→「[ユーザー名]」→「iCloud」→「iCloudバックアップ」
- 「今すぐバックアップを作成」をタップ
- バックアップ完了後、新しいiPhoneでiCloudから復元を選択
iTunesバックアップの作成・復元手順
- パソコンでiTunesまたはFinder(macOS Catalina以降)を起動
- 古いiPhoneを接続し、「今すぐバックアップ」を実行
- 新しいiPhoneを接続し、「バックアップから復元」を選択
これらの方法は、クイックスタートよりも時間はかかりますが、より確実なデータ保護が可能です。特に重要なデータがある場合は、複数の方法でバックアップを作成しておくことをお勧めします。
新しいiPhoneで最初に設定すべきセキュリティ項目
データ移行が完了したら、セキュリティ設定を見直しましょう:
パスコード設定とFace ID/Touch ID登録
パスコードの強化
- 6桁の数字パスコードから英数字パスコードに変更を検討
- 「設定」→「Face IDとパスコード」→「パスコードオプション」で変更可能
- 簡単に推測されるパスコード(生年月日など)は避ける
生体認証の設定
- Face ID:「設定」→「Face IDとパスコード」→「Face IDをリセット」
- Touch ID:「設定」→「Touch IDとパスコード」→「指紋を追加」
- 複数の指や角度で登録しておくと、認識精度が向上します
「iPhoneを探す」機能の有効化方法
移行完了後は、必ず「iPhoneを探す」機能を再度有効にしてください:
- 「設定」→「[ユーザー名]」→「探す」
- 「iPhoneを探す」をオンにする
- 「最後の位置情報を送信」もオンに設定
この機能により、iPhoneの紛失時に位置を特定したり、遠隔でロックやデータ消去が可能になります。盗難対策としても非常に重要な機能です。
その他の推奨セキュリティ設定:
- 自動ロック時間を1分に設定
- アプリのプライバシー設定を個別に確認
- 不要な位置情報サービスをオフにする
- 定期的なiOSアップデートの実行
まとめ|機種変更をスムーズに行うためのポイント
iPhoneクイックスタートを活用することで、新機種への移行が大幅に簡素化されます。成功のポイントは以下の通りです:
- 事前準備を怠らない:Wi-Fi環境の確認とApple IDのログイン状態チェック
- 十分な時間を確保する:移行には数時間かかる場合があることを想定
- 代替手段も準備:クイックスタートが失敗した場合のバックアップ方法も理解
- セキュリティ設定の見直し:移行後は必要な設定を確実に行う
新しいiPhoneで快適なデジタルライフを送るために、本記事の情報を活用していただければ幸いです。
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