「iPhoneとiCloudとiTunesって何が違うの?」「どれを使えばいいのかわからない」と悩んでいませんか。Appleのサービスは便利ですが、似た名前のサービスが複数あり、初心者には少しわかりにくいかもしれません。
iPhone、iCloud、iTunesは、それぞれ異なる役割を持つAppleのサービスです。簡単に言うと、iPhoneはスマートフォン本体、iCloudはインターネット上にデータを保存するクラウドサービス、iTunesはパソコンで音楽やデータを管理するソフトウェアです。
この記事では、iPhone・iCloud・iTunesの基本から、それぞれの違い、具体的な使い方、使い分けのポイントまでを初心者向けにわかりやすく解説します。データのバックアップ方法、音楽管理、ストレージプランの選び方なども詳しく紹介するので、この記事を読めばAppleのサービスを使いこなせるようになります。
iPhone・iCloud・iTunesとは?基本を理解しよう
まずは、iPhone・iCloud・iTunesの基本的な概念を理解しましょう。それぞれが何のためのサービスなのかを知ることで、使い分けが明確になります。これらはAppleのエコシステム(製品やサービスの連携システム)の中で、それぞれ異なる役割を担っています。
ここでは、各サービスの基本的な定義と主な機能について、初心者にもわかりやすく解説します。
iPhoneとは:Appleのスマートフォン
iPhoneは、Apple社が開発・販売しているスマートフォンです。iOS(アイオーエス)という独自のオペレーティングシステムで動作し、直感的な操作性、高品質なカメラ、豊富なアプリ、強固なセキュリティが特徴です。
iPhoneには、連絡先、写真、動画、アプリ、メール、メッセージなど、日常生活に必要なあらゆるデータが保存されています。これらのデータを安全に管理し、他のデバイスと連携させるために、iCloudやiTunesといったサービスが用意されています。
iPhoneは単体でも十分に機能しますが、iCloudやiTunesと組み合わせることで、データのバックアップや複数デバイス間での同期など、より便利に使えるようになります。
iCloudとは:クラウドストレージサービス
iCloudは、Appleが提供するクラウドストレージサービスです。クラウドストレージとは、インターネット上にデータを保存できるサービスのことで、iPhoneやiPad、Mac、Windowsパソコンなど、複数のデバイスからアクセスできます。
iCloudの主な機能は、写真や書類、連絡先、カレンダー、メモなどのデータを自動的にバックアップし、すべてのAppleデバイス間で同期することです。例えば、iPhoneで撮影した写真が自動的にiPadやMacでも見られるようになります。
無料で5GBのストレージが利用でき、容量が足りない場合は有料プラン(月額130円から)に加入できます。インターネット接続があれば、どこからでもデータにアクセスできるのが大きな特徴です。
iTunesとは:メディア管理ソフト
iTunesは、Appleが提供する、パソコン用のメディア管理ソフトウェアです。音楽、映画、テレビ番組、ポッドキャストなどのコンテンツを購入、管理、再生できます。また、iPhoneやiPadをパソコンに接続してデータをバックアップしたり、同期したりする機能もあります。
iTunes Storeでは、音楽や映画を購入・レンタルでき、購入したコンテンツはすべてのAppleデバイスで楽しめます。かつてはiTunesがAppleのエコシステムの中心でしたが、現在はiCloudがその役割を担い、iTunesは主に音楽管理とパソコンを使ったバックアップ用途に使われています。
なお、macOS Catalina(10.15)以降のMacでは、iTunesは「ミュージック」「Apple TV」「Podcast」の3つのアプリに分割され、iPhoneの管理はFinderで行うようになりました。Windowsパソコンでは引き続きiTunesアプリが利用できます。
iCloudとiTunesの主な違い
iCloudとiTunesは、どちらもAppleのサービスですが、目的や使い方が大きく異なります。ここでは、両者の主な違いを3つの観点から詳しく解説します。
違いを理解することで、自分の用途に合ったサービスを選べるようになります。
サービスの目的と役割の違い
iCloudとiTunesの最も大きな違いは、サービスの目的です。iCloudは「データの保管・同期・共有」を目的としたクラウドサービスで、複数のデバイス間で常に最新のデータを利用できるようにします。自動バックアップ機能により、ユーザーが意識しなくてもデータが守られます。
一方、iTunesは「メディアコンテンツの管理・購入」と「パソコンを使った手動バックアップ」を目的としています。音楽ライブラリの作成やプレイリストの管理、iTunes Storeでのコンテンツ購入が主な用途です。また、パソコンにiPhoneを接続して手動でバックアップを取ることもできます。
簡単に言えば、iCloudは「自動的にデータを守り、どこでも使えるようにするサービス」、iTunesは「パソコンで音楽やデータを管理するソフト」という違いがあります。
データの保存場所の違い(クラウド vs ローカル)
iCloudとiTunesでは、データの保存場所が根本的に異なります。iCloudは、データをAppleのサーバー(インターネット上のコンピューター)に保存します。これをクラウドストレージと呼びます。インターネットに接続していれば、どのデバイスからでもデータにアクセスできるのが利点です。
iTunesは、データを自分のパソコンのハードディスクやSSDに保存します。これをローカルストレージと呼びます。インターネット接続が不要で、通信量を気にせず大容量データを扱えるのが利点です。ただし、パソコンが故障するとデータも失われる可能性があるため、定期的なバックアップが必要です。
どちらが優れているというわけではなく、それぞれにメリット・デメリットがあります。多くのユーザーは、両方を併用することで、より安全にデータを管理しています。
利用にかかる費用の違い
費用面でも、iCloudとiTunesには違いがあります。iCloudは基本的に無料で5GBまで利用できますが、それ以上の容量が必要な場合は有料プランへの加入が必要です。料金は、50GBが月額130円、200GBが月額400円、2TBが月額1,300円となっています(2025年10月現在)。
iTunesソフト自体は無料でダウンロード・利用できます。ただし、iTunes Storeで音楽や映画を購入する際は、その都度料金が発生します。楽曲は1曲150円から、アルバムは1,500円から、映画のレンタルは400円から、購入は1,500円からが一般的な価格帯です。
また、iTunesを使うにはパソコンが必要なため、パソコンを持っていない場合は購入費用も考慮する必要があります。一方、iCloudはiPhoneだけで完結するため、追加の機器は不要です。
iCloudの機能と使い方
iCloudは、Appleデバイスを使う上で非常に便利なサービスです。ここでは、iCloudでできること、具体的な設定方法、ストレージプランについて詳しく解説します。
iCloudを使いこなせば、データ管理が格段に楽になり、複数のデバイスをシームレスに使えるようになります。
iCloudでできること(バックアップ・同期・共有)
iCloudには、主に3つの機能があります。まず「バックアップ」機能では、iPhoneの設定、アプリデータ、ホーム画面の配置、メッセージ、写真などを自動的にクラウドに保存します。デバイスを紛失したり故障したりしても、新しいデバイスで復元できます。
次に「同期」機能では、連絡先、カレンダー、メモ、リマインダー、Safari のブックマークなどを、すべてのAppleデバイス間で自動的に同期します。iPhoneで連絡先を追加すると、iPadやMacでもすぐに反映されます。
最後に「共有」機能では、写真アルバムや書類を家族や友人と共有できます。iCloud写真の共有アルバムを使えば、旅行の写真を簡単にグループで共有できます。また、Pages、Numbers、Keynoteなどの書類も、リアルタイムで共同編集が可能です。
iCloudバックアップの設定方法
iCloudバックアップを有効にするには、iPhoneの「設定」アプリを開き、画面上部の自分の名前をタップします。次に「iCloud」→「iCloudバックアップ」と進み、スイッチをオンにします。
バックアップは、以下の条件がすべて満たされたときに自動的に実行されます。iPhoneがWi-Fiに接続されている、iPhoneが電源に接続されている、iPhoneの画面がロックされている、という3つの条件です。通常、夜間の充電中に自動バックアップが行われます。
手動でバックアップを取りたい場合は、「設定」→「ユーザー名」→「iCloud」→「iCloudバックアップ」→「今すぐバックアップを作成」をタップします。バックアップの作成には、データ量によって数分から数時間かかることがあります。
最後にバックアップが作成された日時は、同じ画面で確認できます。定期的にチェックして、最新のバックアップが取られていることを確認しましょう。
iCloud写真とiCloudドライブの活用法
iCloud写真は、iPhoneで撮影した写真や動画を自動的にiCloudに保存し、すべてのデバイスで見られるようにする機能です。「設定」→「写真」から「iCloud写真」をオンにすると有効になります。
この機能を使うと、iPhoneのストレージを節約できます。「iPhoneのストレージを最適化」を選択すると、フル解像度の写真はiCloudに保存され、iPhone本体には容量の小さいバージョンが残ります。写真を開くと、自動的にフル解像度がダウンロードされます。
iCloudドライブは、書類やファイルを保存できるオンラインストレージです。PDFや写真、動画、プレゼンテーション資料など、あらゆるファイルを保存し、すべてのデバイスからアクセスできます。「ファイル」アプリを使ってiCloudドライブにアクセスし、フォルダを作成して整理できます。
iCloudドライブは、他のクラウドサービス(Google DriveやDropboxなど)と同様に使えますが、Apple製品との統合が優れているのが特徴です。
iCloudストレージの容量と料金プラン
iCloudは、すべてのApple IDに対して無料で5GBのストレージが提供されます。しかし、写真や動画が多い場合、5GBではすぐに容量不足になります。容量が足りなくなると、新しいバックアップが取れなくなったり、写真が同期されなくなったりします。
有料プランは、以下の4つから選べます。50GBプラン(月額130円)は、写真や書類をある程度保存したい個人ユーザー向けです。200GBプラン(月額400円)は、写真や動画が多い方や、家族で容量を共有したい方におすすめです。2TBプラン(月額1,300円)は、大量の4K動画や仕事のファイルを保存したい方向けです。
料金プランの変更は、「設定」→「ユーザー名」→「iCloud」→「ストレージを管理」→「ストレージプランを変更」からいつでも行えます。必要に応じてアップグレード・ダウングレードできるため、柔軟に対応できます。
iTunesの機能と使い方
iTunesは、パソコンを使ってiPhoneを管理したり、音楽コンテンツを楽しんだりするためのソフトウェアです。ここでは、iTunesの主な機能と使い方について解説します。
現在は多くの機能がiCloudに移行していますが、パソコンを使った大容量バックアップや音楽管理では、依然としてiTunesが便利です。
iTunesでできること(音楽管理・バックアップ)
iTunesの主な機能は、音楽やビデオなどのメディアコンテンツの管理です。CDから音楽を取り込んだり、iTunes Storeで音楽や映画を購入したり、プレイリストを作成したりできます。また、ポッドキャストの購読や、オーディオブックの購入・再生も可能です。
もう一つの重要な機能が、iPhoneのバックアップです。パソコンにiPhoneを接続し、iTunesまたはFinder(Macの場合)からバックアップを作成できます。このバックアップは、パソコンのストレージに保存されるため、iCloudの容量制限を気にする必要がありません。
さらに、iTunesを使えば、パソコンの音楽ファイルをiPhoneに転送したり、iPhoneで購入した音楽をパソコンにダウンロードしたりできます。音楽ライブラリを一元管理したい方には便利な機能です。
iTunesでiPhoneをバックアップする方法
iTunesを使ってiPhoneをバックアップするには、まずパソコンにiTunesをインストールします(Windowsの場合)。Macの場合は、macOS Mojave以前ではiTunes、Catalina以降ではFinderを使います。
iPhoneをUSBケーブルでパソコンに接続すると、iTunesまたはFinderにiPhoneが表示されます。デバイスを選択し、「今すぐバックアップ」ボタンをクリックすると、バックアップが開始されます。
重要なポイントは、「iPhoneのバックアップを暗号化」にチェックを入れることです。暗号化することで、保存されたパスワード、Wi-Fi設定、Webサイトの履歴、ヘルスケアデータなども含めた完全なバックアップが作成されます。ただし、暗号化パスワードを忘れるとバックアップが復元できなくなるため、必ず覚えておきましょう。
バックアップは、データ量によって数分から1時間程度かかります。完了後、バックアップの日時が表示されるので確認してください。
iTunes Storeでの購入とレンタル
iTunes Storeは、音楽、映画、テレビ番組、オーディオブックなどを購入・レンタルできるオンラインストアです。iPhoneの「iTunes Store」アプリ、またはパソコンのiTunesからアクセスできます。
音楽は1曲単位で購入できるほか、アルバム全体を購入することもできます。購入した音楽は、すべてのAppleデバイスで聴くことができ、何度でもダウンロード可能です。映画やテレビ番組は、購入とレンタルの2つのオプションがあります。
レンタルした映画は、ダウンロードまたはストリーミングで視聴でき、再生開始から48時間以内に視聴を完了する必要があります。購入した映画は、期限なく何度でも視聴できます。価格は作品によって異なりますが、レンタルの方が安価です。
購入したコンテンツは、Apple IDに紐付けられるため、デバイスを買い替えても再ダウンロードして利用できます。
Apple Musicとの違い
Apple Musicは、月額定額制の音楽ストリーミングサービスで、iTunesやiTunes Storeとは異なるサービスです。月額1,080円(個人プラン)で、1億曲以上の楽曲が聴き放題になります。
iTunes Storeは楽曲を1曲ずつ購入する買い切り型ですが、Apple Musicはサブスクリプション型(定額課金制)で、契約期間中は無制限に音楽を楽しめます。ただし、解約すると聴けなくなります。
Apple Musicは、オフライン再生用に楽曲をダウンロードしたり、自分だけのプレイリストを作成したり、AIが好みに合わせて音楽を推薦したりする機能があります。多くの音楽を聴く方には、Apple Musicの方がコストパフォーマンスが高いでしょう。
iTunesで購入した音楽とApple Musicの音楽は、同じ「ミュージック」アプリで一緒に管理できます。
データバックアップ:iCloudとiTunesの比較
iPhoneのデータバックアップには、iCloudとiTunesの2つの方法があります。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分の使い方に合った方法を選びましょう。
ここでは、両者を詳しく比較し、どちらを選ぶべきかの判断基準を解説します。
iCloudバックアップのメリット・デメリット
iCloudバックアップの最大のメリットは、自動でバックアップが取られることです。Wi-Fi環境で充電中、画面ロック時に自動実行されるため、バックアップを取り忘れる心配がありません。また、パソコンが不要で、iPhoneだけで完結するのも便利です。
さらに、インターネット接続があればどこからでもバックアップを復元できます。新しいiPhoneを購入した際、店頭や自宅ですぐにデータを復元できるため、機種変更がスムーズです。
デメリットは、無料プランの容量が5GBと少ないことです。写真や動画が多いと、すぐに容量不足になり、有料プランへの加入が必要になります。また、バックアップや復元にはインターネット接続が必須で、通信速度が遅いと時間がかかります。
さらに、iCloudバックアップには一部のデータが含まれません。例えば、iTunes StoreやApp Storeから購入したコンテンツ、iCloud写真に保存済みの写真、すでにiCloudに保存されているデータなどは、重複を避けるためバックアップから除外されます。
iTunesバックアップのメリット・デメリット
iTunesバックアップの最大のメリットは、容量制限がないことです。パソコンのストレージ容量が許す限り、何十GBもの大容量データでもバックアップできます。また、インターネット接続が不要で、USBケーブルで直接接続するため、高速で安定したバックアップが可能です。
暗号化バックアップを使えば、パスワードやヘルスケアデータなど、より完全なデータを保存できます。さらに、バックアップデータはパソコンに保存されるため、プライバシーが気になる方には安心です。
デメリットは、手動でバックアップを取る必要があることです。パソコンにiPhoneを接続し、手動で実行しなければならないため、忘れがちになります。また、パソコンが必要なため、パソコンを持っていない方は利用できません。
さらに、パソコンが故障するとバックアップデータも失われる可能性があります。そのため、パソコンのデータも別途バックアップする必要があります。
どちらのバックアップ方法を選ぶべきか
基本的には、iCloudバックアップをメインにし、重要なタイミングでiTunesバックアップも取るという併用がおすすめです。日常的にはiCloudが自動でバックアップを取り、大切なイベント前や機種変更前にiTunesで確実なバックアップを取るという使い分けです。
パソコンを持っていない方や、写真や動画が少なく無料の5GBで足りる方は、iCloudバックアップだけで十分です。一方、大量の写真や動画があり、有料プランの費用を抑えたい方は、iTunesバックアップが向いています。
また、プライバシーを重視し、クラウドにデータを保存したくない方も、iTunesバックアップを選ぶとよいでしょう。どちらか一方に絞る必要はなく、両方を併用することで、より安全にデータを守ることができます。
音楽管理:iCloudとiTunesの使い分け
音楽を楽しむ方法も、iCloudとiTunesで異なります。ここでは、音楽管理における両者の違いと、Apple Musicとの関係について解説します。
音楽の聴き方や管理方法に合わせて、最適なサービスを選びましょう。
iTunes Matchとは
iTunes Matchは、自分が持っている音楽ライブラリをiCloudに保存し、すべてのデバイスで聴けるようにするサービスです。年額3,980円で、最大10万曲までアップロードできます。
CDから取り込んだ音楽や、他のサービスで購入した音楽も、iTunes Matchを使えばiCloudに保存され、iPhone、iPad、Mac、Windowsパソコンなどすべてのデバイスで聴けるようになります。また、音質の低い音楽は、自動的に高音質版に置き換えられる「マッチング」機能もあります。
iTunes Matchは、Apple Musicに加入していない方で、自分の音楽コレクションをクラウドで管理したい方に向いています。ただし、Apple Musicに加入すると、iTunes Matchの機能も含まれるため、別途契約する必要はありません。
Apple Musicとの連携
Apple Musicに加入すると、1億曲以上のストリーミング音楽に加えて、自分の音楽ライブラリもiCloudに保存できる「iCloudミュージックライブラリ」機能が利用できます。これにより、購入した音楽とストリーミング音楽を一つのアプリで管理できます。
Apple Musicは、月額1,080円(個人プラン)、月額1,680円(ファミリープラン、最大6人まで)、月額580円(学生プラン)で利用できます。オフライン再生用に楽曲をダウンロードすることもでき、通信量を気にせず音楽を楽しめます。
iTunesで購入した音楽とApple Musicでストリーミングする音楽は、「ミュージック」アプリ内で統合されて表示されます。プレイリストに両方の音楽を混在させることも可能です。
音楽データの保存と同期方法
音楽データの保存方法は、使用するサービスによって異なります。iTunesを使う場合、音楽データはパソコンのハードディスクにローカル保存されます。iPhoneと同期することで、選択した音楽をiPhoneに転送できます。
iCloudミュージックライブラリ(Apple MusicまたはiTunes Match)を使う場合、音楽データはクラウドに保存され、すべてのデバイスからストリーミングまたはダウンロードして聴けます。デバイスのストレージを節約しつつ、大量の音楽を管理できるのが利点です。
どちらの方法を選ぶかは、音楽の聴き方次第です。オフラインで音楽を聴くことが多い方はiTunesでのローカル管理が向いており、複数デバイスで音楽を聴きたい方はiCloudを使った同期が便利です。
セキュリティとプライバシー保護
個人情報や大切なデータを扱うiCloudとiTunesでは、セキュリティ対策が非常に重要です。ここでは、Appleが提供するセキュリティ機能とプライバシー保護について解説します。
適切なセキュリティ設定を行うことで、安心してサービスを利用できます。
iCloudのセキュリティ機能
iCloudは、複数のセキュリティ層でデータを保護しています。まず、すべてのデータは送信時と保存時に暗号化されます。これにより、第三者がデータを盗み見ることはできません。特に、ヘルスケアデータやホームアプリのデータなどの機密情報は、エンドツーエンド暗号化(Apple社員でも内容を見ることができない暗号化)が施されています。
また、Apple IDには二要素認証(2FA)を設定できます。これは、パスワードに加えて、信頼できるデバイスに送られる6桁の確認コードを入力することで、不正アクセスを防ぐ仕組みです。二要素認証を有効にすることを強く推奨します。
さらに、iCloudでは「iPhoneを探す」機能により、紛失したデバイスの位置を特定したり、遠隔でロックしたり、データを消去したりできます。これにより、デバイスを紛失した際も個人情報を守ることができます。
二要素認証の設定方法
二要素認証を設定するには、iPhoneの「設定」アプリを開き、画面上部の自分の名前をタップします。次に「パスワードとセキュリティ」→「二要素認証を有効にする」と進みます。
画面の指示に従って、信頼できる電話番号を登録します。この番号に確認コードが送信されるため、必ず自分がアクセスできる番号を登録してください。設定完了後、新しいデバイスやブラウザでApple IDにログインする際は、パスワードに加えて確認コードの入力が求められるようになります。
二要素認証を有効にすると、セキュリティは大幅に向上しますが、信頼できるデバイスや電話番号にアクセスできなくなると、Apple IDにログインできなくなる可能性があります。そのため、複数の信頼できるデバイスを登録しておくことをおすすめします。
また、アカウント復旧用の連絡先を設定しておくと、万が一のときに家族や友人に助けてもらえます。
データの暗号化とプライバシー対策
iTunesでバックアップを作成する際も、暗号化オプションを有効にすることで、データをより安全に保護できます。暗号化バックアップには、パスワード、Wi-Fi設定、Webサイトの履歴、ヘルスケアデータなど、通常のバックアップには含まれない機密情報も保存されます。
Appleは、ユーザーのプライバシーを重視する企業として知られています。収集したデータを広告目的で第三者に販売することはなく、iCloudに保存されたデータも、Appleが勝手に閲覧することはありません。プライバシーポリシーは透明性が高く、どのようなデータがどのように使われるかが明確に説明されています。
ただし、完全なセキュリティは存在しないため、パスワードを強固なものにする、二要素認証を有効にする、定期的にバックアップを取る、といった基本的な対策を怠らないことが重要です。
iCloudとiTunesの活用シーン別使い分け
iCloudとiTunesは、使用する場面や目的によって使い分けることで、最大限の効果を発揮します。ここでは、具体的な活用シーンごとに、どちらを選ぶべきかを解説します。
自分のライフスタイルや使い方に合わせて、最適な方法を選びましょう。
日常使いならiCloudが便利
日常的な使用では、iCloudが圧倒的に便利です。自動バックアップ機能により、何も意識しなくてもデータが守られ、複数のデバイス間でシームレスにデータが同期されます。例えば、iPhoneで撮影した写真が自動的にiPadやMacでも見られるようになり、Macで作成したメモがiPhoneでもすぐに確認できます。
特に、外出先でもデータにアクセスしたい方、複数のAppleデバイスを使っている方、パソコンを持っていない方には、iCloudが最適です。連絡先の同期、カレンダーの共有、書類の保存など、日常的に使う機能はすべてiCloudでカバーできます。
また、「iPhoneを探す」機能や「ファミリー共有」など、iCloud独自の便利な機能も多数用意されています。月額130円からの有料プランも、他のクラウドサービスと比較してリーズナブルです。
大容量データ管理ならiTunes
一方、大量の写真や動画、4K映像など、大容量データを扱う場合は、iTunesを使ったローカルバックアップが向いています。パソコンのストレージ容量が許す限り、無制限にバックアップできるため、iCloudの容量制限や月額料金を気にする必要がありません。
また、動画編集や音楽制作など、プロフェッショナルな用途でiPhoneを使う方は、パソコンとの連携が不可欠です。iTunesを使えば、大容量のプロジェクトファイルを効率的に転送・管理できます。
さらに、クラウドにデータを保存することに抵抗がある方、プライバシーを重視する方も、iTunesを使ったローカル管理が安心です。自分のパソコンにデータを保管することで、完全にコントロールできます。
併用することで最大限活用できる
実は、iCloudとiTunesは対立する選択肢ではなく、併用することで最大の効果を発揮します。日常的な自動バックアップと同期にはiCloudを使い、重要なタイミング(機種変更前、海外旅行前など)にはiTunesで完全なバックアップを取るという使い方が理想的です。
例えば、普段はiCloudの自動バックアップに任せておき、月に1回程度、iTunesでパソコンにバックアップを取るというルーティンを作れば、二重三重の安全網ができます。万が一iCloudのバックアップに問題があっても、パソコンのバックアップから復元できます。
また、音楽管理はiTunes、写真同期はiCloud写真、書類管理はiCloudドライブというように、用途別に使い分けることも効果的です。それぞれのサービスの強みを活かすことで、より快適なデジタルライフが実現します。
よくある質問と疑問
iCloudとiTunesを使う上で、多くの方が抱く疑問や問題について、解決策を紹介します。トラブルが発生した際の対処法も押さえておきましょう。
iCloudの容量が足りない場合の対処法
iCloudの容量が不足している場合、いくつかの対処法があります。まず、不要なデータを削除することです。「設定」→「ユーザー名」→「iCloud」→「ストレージを管理」から、各アプリが使用している容量を確認できます。
特に、古いバックアップ、使わなくなったアプリのデータ、重複した写真などは削除の対象です。また、メールアプリの添付ファイルやメッセージアプリの写真・動画も、意外と容量を占めています。
次に、バックアップの対象を見直すことも効果的です。すべてのアプリをバックアップする必要はなく、ゲームアプリなど容量の大きいアプリは、バックアップ対象から外してもよいでしょう。「設定」→「ユーザー名」→「iCloud」→「ストレージを管理」→「バックアップ」から、バックアップするアプリを選択できます。
それでも容量が足りない場合は、有料プランへのアップグレードを検討しましょう。月額130円の50GBプランでも、多くの方にとって十分な容量です。
iTunesからiCloudへの移行方法
これまでiTunesでバックアップを取っていた方が、iCloudに移行したい場合の手順を説明します。まず、iPhoneの「設定」→「ユーザー名」→「iCloud」→「iCloudバックアップ」をオンにします。
次に、Wi-Fi環境で「今すぐバックアップを作成」をタップして、初回のiCloudバックアップを作成します。これで、今後は自動的にiCloudにバックアップされるようになります。
ただし、iCloudの無料容量が5GBしかないため、データ量が多い場合は有料プランへの加入が必要です。また、iTunesのバックアップは念のため残しておくことをおすすめします。パソコンのストレージに余裕があれば、二重のバックアップとして活用できます。
移行後は、iTunesでのバックアップは手動で行う必要がなくなりますが、重要なタイミングでは引き続きiTunesバックアップも取っておくと、より安全です。
古いiPhoneのデータはどうする?
機種変更後、古いiPhoneのデータをどうすべきか迷う方も多いでしょう。まず、新しいiPhoneへのデータ移行が完了し、すべてのデータが正しく移行されていることを確認してください。
確認後、古いiPhoneを売却または譲渡する場合は、必ずデータを完全に消去する必要があります。「設定」→「一般」→「転送またはiPhoneをリセット」→「すべてのコンテンツと設定を消去」を実行します。その前に、「iPhoneを探す」をオフにし、iCloudからサインアウトすることも忘れずに行ってください。
古いiPhoneを予備機として保管する場合は、データを消去せずに保管しても構いません。万が一新しいiPhoneに問題が発生した際の予備として活用できます。ただし、SIMカードは取り外しておくことをおすすめします。
データ消去後のiPhoneは、個人情報が完全に削除されているため、安心して買取業者に売却したり、家族や友人に譲ったりできます。
まとめ:iCloudとiTunesを使いこなそう
iPhone、iCloud、iTunesの違いと使い分けについて詳しく解説してきました。それぞれの特徴を理解し、自分の用途に合わせて活用することで、Appleデバイスをより便利に、安全に使うことができます。
iCloudは、日常的なデータ管理と自動バックアップに優れ、複数デバイス間でのシームレスな同期を実現します。一方、iTunesは、大容量データの管理とパソコンを使った確実なバックアップに適しています。両者を併用することで、データの安全性を最大限に高めることができます。
重要なポイントをまとめると、日常的にはiCloudの自動バックアップを活用し、重要なタイミングではiTunesでも手動バックアップを取ること、二要素認証を有効にしてセキュリティを強化すること、定期的にバックアップの状態を確認すること、などが挙げられます。
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